CIZ 審査と保証の語り場

Column #1

 保証料の決定プロセスを分析

保証料の決定プロセスを分析するにあたって、私たちの業務とよく似ている損害保険の例でまずみたいと思います。

損害保険の場合は損害保険料率算出団体に関する法律に基づき、損害保険業の健全な発達と保険契約者等の利益の確保を木鉄器として損害保険料算出機構が設立され、会員である保険会社等から大量のデータを収集し、精度の高い統計に基づく適正な参考純率と基準料率算出しています。これらの料率等が損害保険の保険料の指針等のひとつになっていると言えます。
一方、家賃債務保証業(賃貸保証)では保証料の決定を始め業態への規制法は原則ありません。よって先の算出機構などの組織もありませんので全く以て、現状では賃貸保証会社各社の自由裁量によって決まっているのが実情です。

そこで一般的に考えられる保証料の決定プロセスを見ると保証料の決定に影響を及ぼすものは事故率(滞納率)と回収率であることは何となく理解することが出来ると思います。これらの相関関係の詳細はさて置き、この事故率(滞納率)と回収率を弊社では保証料を決定する「直接的要因」と言っております。

この他に市場動向・競合関係・審査精度・組織適応力・商品性等の他、賃貸経営リスクが同様に保証料を決定する際に影響を及ぼします。これを弊社では保証料を決定する「間接的要因」と言っております。

これらの他にさらに一つ保証料を決定する際に影響を及ぼしているものがあります。

それは直接要因の事故率(滞納率)に大きく影響を与えている保証期間です。保証期間が長ければ直接要因の事故(滞納)の発生確率は高くなります。よって原則として保証期間が長ければ保証料は高くなります。

保証期間に関連して少し話がそれますが、主要先進国で滞納家賃を保証しているビジネスモデルがあるのは日本だけです。

又、普通借家制度(法廷更新と正当事由)のような貸家制度があるのも日本だけです。

現在、日本の賃貸市場では普通借家制度と定期借家制度のダブルスタンダードですが、まだ定期借家の契約形態をとっている件数は民間の賃貸借契約件数全体の1割に満たないのではないでしょうか!?

 

前述のようになぜ、日本だけがこの家賃債務を保証するビジネスモデルが存在するようになったかと言いますと、それは前述の普通借家制度と日本固有の借家における連帯保証人制度に起因していると思います。そして消費者金融業者がこれらに目を付けて最初は連帯保証人代行として、今では家賃債務保証業として参入してきたことによるものです。

 保証料はどうやって決まるのでしょうか?

話しを戻しますと、賃貸市場も家賃債務保証市場(賃貸保証市場)も依然として未成熟市場であることに変わりはありません。

特に賃貸保証市場は雨後の筍状態で消費者金融業かから参入してきた者に始まり今では管理会社や不動産会社までがこの賃貸保証事業に参入している状況です。
このような背景も合わせて前述のように各社の自由裁量によって保証料は決められているのです。

 

さて、事故率に影響を与える保証期間ですが、弊社では退去までが保証の期間となっています。
これは弊社が保証事業を開始してから、24年の間に物件タイプ別、年齢別、男女別など30項目を越える分類(事業用の場合は別の分類)と居住期間の相関関係をデータベース化しており、それを分析した結果、一定の居住期間を想定しそれを弊社の保証料算出に用いています。さらに福岡県を始め九州で展開しています「ふれんず宅建保証」の事故率等も私たちの保証料算出根拠のひとつとなっています。蛇足ではございますが、この「ふれんず宅建保証」ではサービス開始から現在まで11年間一度も保証料や保証内容を変更したことはありません。

先の30項目を越える分類のデータベースは居住期間だけでなく、滞納の発生確率と滞納が起きた後、滞納家賃を回収できる確率も分析しています。これらの分析結果は弊社の審査システムとその審査精度に大きく影響を与えています。

結果として、このデータベースの分析を以て先の直接要因と間接要員の変数を基本に弊社は保証料を決めています。

保証料の算出は直接要因と間接要員を分析し、これに管理費(経費)と利益を見て調整され、最終の保証料が決まります。

 

 

アークシステムテクノロジーズ株式会社 代表 定村𠮷高

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